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古希+3の手習い その 4 水墨画って何? [長く生きてりゃ・・・]

水墨画イメージのコピー.jpg

水墨画イメージ 

先般、水墨画って何だろうという疑問から、いろいろな文献を漁ってみたと記しました。

 調べるうち頭のなかが混乱するほど、

大昔からたくさんの「画論」や「名画記」ならびに「画法」の

記録(書物)があることがわかりました。

しかも1,000年以上も前の記述は、

誰が、いつ書いたのか

専門家であっても難しいようです。

おおざっぱではありますが

どうも中国の唐(618~907)や五代(907~958)の時代に著されたものが、

後世の宋や明の時代に加筆されたり書き替えられたり、

著者を変えて(偽って)記しているものが複数あるようです。

水墨画ってなに? 

ご興味のある方は続きをどうぞ。

ただし、これは素人のわたしの見解ですから間違っていたらご指摘ください。

水墨画ってなに?
                                                          2016.10.28
まず「水墨画」ということばの淵源(初出)について述べてみたい。

ちょっと古いけれど昭和45年(1969年)に読んだ本で、

当時大和文華館館長だった・故矢代幸雄先生は、その著書のなかで、

< 中国文学に詳しい友人の学者から

「初出はどこかの唐詩に載っていたような記憶がある」と聞いたので、

その人に「調べてくれ」と頼んだが、

答えをもらう前に死んでしまった >・・・とあった。


 その後1975年に台湾で出版された画論集成『山水画論』(※1)では、

中国五代(907~958年)の荊浩(けいこう※2)の『筆法記』のなかに

「水暈(すいうん)・墨章(ぼくしょう)の如きは我が唐に興った」

という一節があって、

後世の識者(日本では江戸時代の田能村竹田)が

山水画を「水暈墨章之画」といいはじめ、

その後さらに省略されて「水墨画」になったような説。


もう一つは、唐の時代の画聖とうたわれた王維著

『画学秘訣』のなかの「山水訣」(※3)の冒頭に

「それ画道のなかに水墨を上となす」

というのが出てくる。

このどちらかが初出のようだ。


上記「水暈」とは聞きなれないことばだが、

これは墨に水を加減しながら適時溶かして描くことにより、

墨の滲(にじみ)が醸しだす暈(ぼかし)の妙のことだ。

これは東洋画にしか見られない特徴である。

暈成は油彩では見られない東洋人の美的感覚でもある。


 誠に雑駁ではあるけれど

過去3回の掲載記事をまとめてみると

次のような結論に達した。


墨汁を使った古来の地形図的自然描写を

徐々に「心境山水画」にまで発展深化させたのは

唐末・五代から宋代にかけてであること。

特に宋代になってからは

宋文化の哲学的傾向のなかに優れた文人、思想家、僧侶が輩出された。

よって、一般の芸術にも精神主義的発言が強く支配した。

これに伴って精神表現に絶好なものが水暈墨章(水墨画)だったようだ。

このあたりにことば(呼称)の淵源があるように感じた。

水墨画のビジュアル的形象は、

「濃墨・薄墨色で陰影を施した美しいぼかしを含む形象画」・・・となろうか。

とはいえ、長い歴史の中で水墨画は現在

「これが水墨画?」と思うような作品がつぎつぎに生まれている。

三浦ひろみのハイビスカス.jpg

現代の水墨画家 三浦ひろみさんの作品『ハイビスカス』

(余談だが三浦さんは、わたしの親友の従妹ということを最近知った)

◆ 

(雪舟の山水画をはじめ日本に伝わってからの水墨画については、長くなるので省略)

[注釈]
※1  『山水画論』(1975年台湾芸術図書公司刊):歴史的な文献で資料価値が認められた中国画論のうち、南北朝から明代末期までに世に出た50巻ほどの文献を収録したもので、歴代の識者が文献価値に考証を加えている学会公認の文献集。

※2 荊浩:中国五代の画家。河南・泌水(ひっすい)の人で、儒者だったが経史に通じていて文章も優れていた。五代の変乱時には太行山中の洪谷(こうこく)に陰棲して「洪谷子」と号した。もっぱら山水樹石を描いて悠悠自適の生活を送ったと伝えられている。有名な著書は『筆法記』だ。この書物の構成が面白い。ある日、老松の茂った谷間で写生していると一人の老人と出会う。いろいろな問答の末に老人より山水画の筆法を授かるという構成で書かれているところだ。これを読んでわたしは、ほぼ同時代の人・空海が24歳のときに著わした『三教指帰』(さんごうしいき)を思い出した。どちらも論旨を戯曲化して自分の考えを述べているところだ。

※3 『山水訣』:一説には王維の作ではなく、上記の荊浩(けいこう)が書いたとも言われている。
 

過去の英のブログURL関連記事
http://eee-141tec.blog.so-net.ne.jp/2016-10-3#favorite  

 http://eee-141tec.blog.so-net.ne.jp/2016-10-10#favorite

こういう文章は堅くて面白くありませんね。次回からは軟派記事を載せます。

軟派記事とは異性に対するナンパではありません。

ジャーナリストが使う専門用語で

社会面を扱う記事のことです。

[サッカー]


 


タグ:水墨画
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コメント 10

green_blue_sky

歴史を調べると面白くなりますね。
以前(Webがないころ)、水墨画を調べたことがありますが、なかなかわからないようです(^_^;)
by green_blue_sky (2016-10-29 07:33) 

なんだかなぁ〜!! 横 濱男

水墨画って、なんだか見入っちゃいます。
西洋の絵画より、水墨画だなぁ~!!
浮世絵も好きですけど。。(^^)
by なんだかなぁ〜!! 横 濱男 (2016-10-29 07:55) 

夏炉冬扇

ご精進ですね★★★
by 夏炉冬扇 (2016-10-29 19:17) 

リュカ

調べていくうちに
頭が混乱してわからなくなっちゃうことありますよね。
よく飽和してます^^;

記事面白かったです^^
by リュカ (2016-10-31 10:27) 

アールグレイ

水墨画のモノクロの中に奥の深さがあって
情緒深い感じを受けます。
濃淡で立体的に広大に描いていらっしゃいますね。
いいですよね。
記事、興味深く読ませてもらいました。
モダンな現代風の水墨画もあるのですね。
by アールグレイ (2016-11-01 13:18) 

Chobi.H.YAOITA

水墨画いいですよね
書き直しのできないところが潔く
筆のリズムを見ていると音楽を聞いているような気持ちになることがあります^^
by Chobi.H.YAOITA (2016-11-01 16:39) 

saia

現代水墨画という絵画のジャンルがあるというのを初めて知りました!
三浦ひろみさんという方のこの水墨画、一瞬ドレスを着た女性が腕を伸ばしているように見えて、何度も見直してしまいました(≧▽≦)
不思議な魅力を感じる画ですね。

by saia (2016-11-02 02:54) 

ラン

長い歴史を越えて水墨画も変わってきているのですね。。。
by ラン (2016-11-03 23:59) 

暁烏 英(あけがらす ひで)

saiaさん
記述不足でした。「現代水墨画」というジャンルがあるかどうか私は知りません。ここに掲げた三浦さんの絵は、「現代の水墨画」と書くべきでした。「の」を入れなかったので誤解を招いたようです。訂正しときます。
by 暁烏 英(あけがらす ひで) (2016-11-05 09:26) 

蛙友

やっと読ませて頂きました。
詳しく調べて下さってありがとうございます、続きを楽しみにしています。
by 蛙友 (2016-11-12 18:32) 

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